著者紹介
著者:スペンサー・ジョンソン氏
医学博士・心理学者。心臓のペースメーカー開発にもたずさわる。
現在はさまざまな大学や研究機関の顧問をつとめ、シンクタンクに参加する一方、著作活動を続けている。
その功績を認められ、ハーバード・ビジネス・スクールの名誉会員。
主な著書に、『1分間マネージャー』(共著)『1分間意思決定』『人生の贈り物』他、多数。
訳者:門田みすず氏 翻訳家、フリーライター
著者には他に、本書の続編として『迷路の外には何がある?』、『頂きはどこにある?』などもありますが、
おすすめしたいのは数ある中でも圧倒的に本書です。
個人的な経験の教訓と重なる部分も多く、
様々な場面や分野に共通した、含蓄ある物語です。
登場人物(本書は物語です)
- 2匹のネズミ 「スニッフ」 と 「スカリー」
- 二人の小人 「ヘム」 と 「ホー」
本書の概要と解釈
本書は、ある迷路で起こった出来事をめぐる物語で、
2匹のネズミと二人の小人が「チーズ」を探し求める物語です。
「チーズ」は私たちが人生で追い求めるもの。仕事・家族・恋人・家等々
「迷路」はチーズを追い求める場所。会社かもしれないし、世の中全体かもしれない。
コロナウイルスによる混乱の中で「チーズ」を失くしてしまった方々にも、
改めて読んでいただきたい。
「『チーズ』はつねにどこかへもっていかれ、消えていく。」
あらすじ

2匹のネズミ「スニッフ」と「スカリー」、2人の小人「ヘム」と「ホー」は、
毎日迷路で、幸せになるための特別なチーズを探し回ります。
迷路のどこかにあるはずの特別なチーズです。
2匹のネズミは単純で非効率的な方法で探します。
とにかく行ったことのない通路を進んで、何もなければ引き返す、の繰り返し。
2人の小人は過去の教訓から得た教訓と思考により、より効率的な方法で探しますが、
信念と感情により、ものの見方を鈍らせてしまうこともありました。
それぞれのやり方は違うものの、2組ともチーズを発見することができます。
その後、毎日、2組はチーズのある通路に通います。チーズは大量にあります。
2匹のネズミは、チーズがある場所がわかってからも、毎朝早起きをし、迷路へ急ぎます。
2人の小人は、チーズがある場所がわかってから、ゆっくり起きて、ゆっくりと迷路に向かい、自分たちのチーズだと思い、近くに引っ越します。
そしてチーズがあることが当たり前になり、慢心します。
「チーズを手に入れれば幸せになれる」
しかし、2匹のネズミは違いました。
チーズがあることを当たり前と思わず、いずれなくなるかもしれないという覚悟をしていました。
そしてある日突然チーズがなくなります
2匹のネズミは、自分たちが変わらなければと思い、
すぐにまた新しいチーズを探しに出かけます。
一方、いつもどおりゆっくりとやってきた2人の小人は「チーズがない!」と叫んだり大声でわめいたりしました。
2人はこれからどうしていいかわからず、長い時間悩みます。
事態が信じられず、明日もなかったらどうしようと悩みます。
「自分のチーズが大事であればあるほどそれにしがみつきたくなる」
翌日もチーズはありません。
2人の小人は、ネズミよりも自分たちの方が利口で特別、
こんなことになったのは他の誰かのせいだと思います。
しかし、2人が悩んでいる間に、
2匹のネズミは新しいチーズを発見するのです。
2人の小人は、それでもまだ毎日同じように過ごし、
毎日不安と失望を抱えて家に帰ります。
そんな中、ホーは気づきます。
「ねえ、ヘム、物事は変わることがあるし、決して同じことにはならない。あの頃と一緒だよ、ヘム。それが人生だ!人生は進んでいく。僕らも進まなくてはならない。」
p39
そして今まで行ったことのないところに行く恐怖を抱えながら、
新しいチーズを探しに行くのです。
しかし出かけたのはホーのみで、ヘムはどうしてチーズが消えたのかを考えるだけでした。
「変わらなければ破滅することになる」
はじめは恐怖を感じていたホーも、
新しいチーズのことを考えながら、新しい道を進む中で、
楽しさを感じ、どうしてもっと早く新しいチーズを探しに行かなかったのかと思うようになります。
人が恐れている事態は、実際は想像するほど悪くはないのだ。自分の心の中につくりあげている恐怖のほうが、現実よりずっとひどいのだ。
p57
と、いうところでストーリーの紹介を終わりにします。
物語はもう少し続きます。
小人の「ホー」の心の変化やチャレンジを通して、
読者に大切なことを伝えようという物語ですが、
とてもわかりやすく、印象的な物語です。
現実のビジネスの場面でも、
様々なチーズが出てきます。
しかしチーズは突然なくなります。
その変化に気づき、準備をしていたかどうか、
そして現実を受け入れ、すぐに新しいチーズを探しに行く。
そういった心構えが必要な場面がたくさん出てきます。
ビジネスだけではありません。
生活の中で、さまざまな変化が突然やってきたりするでしょう。
今の幸せな状況をかみしめながら、
常に想定外を想定する心と行動が必要なのではないかと思います。
人それぞれのチーズを大切にしながら、
新しいチーズを見つけに行く心構えを持っておきましょう。
「チーズ」は突然なくなる。その心の準備をしておく。そして新しい「チーズ」を見つけに行く。
おわりに
書評の記事では、基本的に本内容の全てはご紹介していません。
紹介していない部分の方が多く、ここで紹介している内容には、私の個人的なバイアスがかかっております。
しかし、その一部でも心に響く内容があったのではないかと思います。
どういった形でも良いので、気になった方は原本を是非ご一読ください。
おすすめ度
★ ★ ★ ★ ★
全ての人におすすめしたい、名作(名著)です。
様々な場面や状況でこの本を思い出していただきたい。