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書評

【書評】『空き家を買って、不動産投資で儲ける!』バブル崩壊の教訓をコロナショックで生かす

更新日:

以下「本書」と言います

『空き家を買って、不動産投資で儲ける!』が発売されたのは2015年です。

築古戸建て賃貸投資についての投資方法を解説した本です。

1戸当たりの想定事業費は400万円と、

現実的な予算で次々に買っていく方法です。

著者のセミナーに参加したタイミングで当時購入しましたが、

参加してよかったと思った記憶があるのと、

最近戸建て投資が流行っているので、

今回はこの本をご紹介したいと思います。

含蓄のある大阪商人の言葉がたくさん紹介されていて、

他とは一味違った不動産本です。

著者紹介

著者:三木章裕氏
(収益不動産経営コンサルタント、全国古家再生推進協議会顧問 等々)

1962年生まれ。清風高等学校卒業、甲南大学経営学部卒業、大阪学院大学大学院商学研究科修了。

一般社団法人全国古家再生推進協議会顧問、株式会社大阪賃貸不動産経営研究所所長、アースリンクグループ代表取締役CEO。収益不動産経営コンサルタント。指導先の資産形成額が300億円以上にのぼる、不動産による資産づくりの専門家。

大阪中心に親の代から不動産業・大家業を営み、アパート・マンションの経営については、一般社団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)の浦田健氏に師事、大阪にてパートナーコンサルタントとして活動。また不動産実務検定の大阪第一支部の講師として、「喜ばれる大家の会」を運営し、全国の大家さんのために講義、講演をするほか、さまざまな相談も受けている。近年では、古家(空き家)を再生して高利回り物件として提供し、普通のサラリーマンでも借金なしに大きな資産を築ける蓄財術を指導している。全国古家再生推進協議会の「古家再生投資プランナーweb講座」の作成にも携わる。

幻冬舎GOLD ONLINE より転載

著者の先祖はいわゆる「大阪商人」で、

著者もその商人たちの生き方や考え方を引き継いで、

現代でもそのエッセンスを活かし、ビジネスをされていらっしゃいます。

この大阪商人の考え方が著者の大きな特徴と言って良いと思いますし、

私も実際にお話を聞いて「なるほどなるほど」と感銘を受けました。

そしてはじめに、この言葉をご紹介しておきたいと思います。

商売の種になるものは、時代とともに移り変わっていきます。ですから、今うまくいっている商売(ビジネス)が、これから永遠に続くことはないのです。しっかり時代の風をつかんで商売を選ばないと、稼いでいくことはできません。

p5

変化への対応と、その心構えが重要であることが、著者の言葉からもよくわかりますね。

目次

第1章  なぜ私が人の資産をつくるようになったのか?
   ・バブル期の不動産経営って、どんな物件も一瞬で売れた
   ・バブル崩壊で、一瞬で天国から地獄へ
   ・借金をせずにマンション1室分の収入を得る方法
   ・不動産仲介・管理業がバブル期の客数を超えた など

第2章  誰でも始められる空き家(古家)不動産投資とは?
   ・これからは資産の差が貧富の差をつくる時代
   ・平凡なサラリーマンが空き家不動産投資で、資金ゼロから800万円の資産と毎月万円の副収入を手に入れた
   ・ 1億円の預金をつくるより、1億円の資産をつくるほうが簡単
   ・空き家物件は、今後ますます増え続ける
   ・相続した空き家が「負動産」から「富動産」に変わる!
   ・ババ物件がお宝物件に! リフォームしだいで古家が大変身する
   ・売れない空き家物件が売買物件に変わってしまう など

第3章  空き家不動産投資で資産をつくるためのライフプラン
   ・生涯いくら稼げば豊かな生活が保障されるのか?
   ・住宅ローンの返済は賃貸物件の入居者の家賃でまかなう
   ・お金儲けと資産づくりは違う。誰でも資産づくりは簡単にできる!
   ・少額不動産投資から資産づくりを始めるしかない
   ・60歳までに1億円の資産をつくるためのシミュレーション など

第4章  資産づくりは世代ごとに違ってくる──世代別実践法
   ・ライフサイクル投資「7・5・3の法則」
   ・30代では、給料は低いが長期借り入れができる「時間」が味方
   ・50代では、一番お金のいる時代の資産づくりを考える
   ・70代で不動産を資産としてどうすべきか考える
   ・セミリタイアしたい人は、空き家物件を1~2軒買ってからが勝負
   ・レバレッジには金融緩和を味方につけて加速する など

第5章  不動産投資の心得! これだけ押さえれば不安なく始められる
   ・500年かけて磨かれてきた大阪商人の教えは、不動産投資にぴったり
   ・経費をケチってはいけない── 成功した大家と失敗した大家の違い
   ・不動産投資で銀行よりも上手な資産運用ができる
   ・空き家でも高い家賃を取れる仕掛けをつくる
   ・不動産投資は家賃が命。商品はすべて値段で決まる
   ・家賃を下げるのではなく、入居者のためにコストをかける
   ・空き家不動産投資という新しい世界へ など

第1章  なぜ私が人の資産をつくるようになったのか?

著者はバブルの時代から不動産の仲介等をしており、相当稼いでいたそうです。

しかしバブルが崩壊。著者の所有不動産の担保評価も半額に。

同業他社も同様の地獄のような日々についても記されています。

金融機関の貸しはがしも相当えげつなかったようですね。

そんな中で思い浮かべたのが「本多清六」氏と、「大阪商人」たち。

そして本多清六氏の言葉に励まされ、次のように思ったそうです。

「バブルの崩壊は天下の大変動に匹敵する。失敗ばかり気にしていても何も生まれない。この経験を活かして私も人生計画を立て直そう」

p23

今まさにコロナショックによる「大変動」の時代です。

このバブル崩壊の教訓と重なる部分が大いにあると思うので、

バブル崩壊を経験した著者の思考にはとても励まされます。

著者は当時の絶望の中、親族の力を借りつつ、再起を図っていきます。

その時の経験を踏まえ、不幸な人をつくらせないためにも、

自分の知識や経験を伝えていこうと思ったそうです。

本多清六氏については、私も著書をいくつか読みましたが、

古典であるにもかかわらず、今に通じる本質的な資産形成術が書かれていて感銘を受けました。

漫画の『インベスターZ』でも紹介されています。

バブルのどん底からいかに這い上がったか

バブル崩壊によって0スタートとなった筆者はこう考えたそうです。

仕入れも借金も必要のない不動産管理をすれば、不動産管理料、仲介手数料や保険手数料等を合わせれば、家賃の10%を得ることができる!10室管理すれば1室分の家賃を得ることができる!

そうして1年で300室の管理をするようになり、年間1000万円以上の管理料収入を得られるようになったそうです。

不動産管理はかなり大変な仕事ですが、

仕入れも借金も必要無いというのは強みですね。

不動産仲介もそうですが、在庫を持たなくて良いというのはリスクが少ない商売です。

どん底から、先人たちの知恵をバネに這い上がって頑張ってきた著者の姿に励まされます。

「なくなればまたつくればいいのです。どんな時代も失敗や思わぬ災害に見舞われることはあります。でもそこであきらめずに、またやり直せばいいだけです。」

p34

第2章  誰でも始められる空き家(古家)不動産投資とは?

トマ・ピケティと大阪商人によるシンプルな蓄財術

・日本では、小さくても資産として不動産を持つ

・不動産を持ったら収益を上げる

・なるべく効率よく資本収益率を上げる

・そのお金を貯めて活用する。もしくは融資を受ける。

・雪だるま式に収益不動産をドンドン増やす

・不動産を増やしたら、次の世代に効率よく引き継いでいく。

p43

著者のおすすめする具体的な蓄財術

空き家を買ってリフォームして貸す。資金は公庫の融資。

400万円の予算でリフォーム済の物件を賃貸に出し、

5万円~6万円の家賃収入を目指すものです。

これは私も実践している方法の一つですが、

おすすめの投資法です。

しかしデメリットもあり、最近は仕入れそのものが少し難しくなってきている感じもあります。

この記事は書籍の紹介ですので、このことについては別途記事を書きたいと思います。

第3章  空き家不動産投資で資産をつくるためのライフプラン

「あなたが家族と豊かに暮らすためには、いったい生涯でいくら稼げばいいのでしょうか?」

p82

という問いから始まります。

以前「老後に2000万円必要」という金融庁の報告が盛り上がったことがありますが、

これは、

老夫婦2人暮らしの世帯で月平均5.5万円の赤字が30年続いた場合の金額です。

逆に言うと月5.5万円ということは、

戸建賃貸を1戸、借金無しで持っていれば事足りる。という見方もできますね。

さて、

この章で著者は、

戸建賃貸を始める際に、1棟目は現金で買う方が短期間で資産形成ができると説きます。

400万円くらいの予算ということなので、

このくらいの預金は持っている人は多いと思います。

預金の大部分を築古の不動産に投じるのはなかなか勇気がいりますが、

融資についても、1戸でも持っている(自己資金で事業を始め、資産を所有している)方が受けやすくなるという利点もあります。

著者は1つのシミュレーションとして、

35歳から62歳までに、1億円の資産と毎月125万円の家賃収入が得られるシミュレーションを公開しています。

ただここには不動産投資の負の側面である様々なリスクや、

不動産市況等が考慮されていませんので、

実際は相当程度目減りするものと考えておいた方が良いと思います。

それでも戸建現金買いで増やしていくのは、

ローリスクハイリターンな投資方法であることには変わりないと思います。

ハイリターンであるが故に、様々なコストがかかることも付け加えて、

認識しておく方が良いですね。

第4章・第5章

本書ではこの後、4章・5章と続きますが、

著者のメインの主張は第2・3章に集約されています。

4章・5章では、その主張を補足するような内容になっています。

資産を買うために貯金をしよう

本書の第5章でも紹介されていますが、

事業資金を確保するためには、初めは頑張って貯金するのが一番。

そして不動産からの収入も使わず、複利効果を利用して、

次の不動産の購入資金に充てる。

ある程度の規模になるまでは、このことが大切だと思います。


『バビロンの大富豪』では収入の10分の1、
『私の財産告白』(本多清六氏)では収入の4分の1



という、なかなか難しい割合の預金をすることが勧められています。(10分の1ならできそうですが)

預金は最も基本的な蓄財法ではないかと思いますが、

預金はある意味「コストカットによる利益率の向上」を目指す取り組みでもあります。

すぐに売上(給料)を増やすのは難しいけれども、コストカット(節約)はすぐに実践できます。

不要な無駄遣いを省き、まずは資産を買うための現金を貯めましょう。

戸建賃貸もハードルが上がっている

頑張って貯金できるくらいの額から始められて、

ローリスクハイリターンな戸建賃貸投資は確かにおすすめです。

しかしこの再現性の高さ故、近年では競合が多く、

なかなか良い(安くて簡単に直せそうで借り手が付きそうな)物件が市中に出回らないという現象も起こっています。

時代は変化していますが、

そんな時だからこそ、はじめに引用した次の言葉が思い起こされます。

商売の種になるものは、時代とともに移り変わっていきます。ですから、今うまくいっている商売(ビジネス)が、これから永遠に続くことはないのです。しっかり時代の風をつかんで商売を選ばないと、稼いでいくことはできません。

P5


最後にこの著者のことばをご紹介して終わりたいと思います。

資産家になるのに大きな野望や能力は必要ありません。
とにかくシンプルなサイクルを黙々と続けることです。

p214「おわりに」より抜粋

おわりに

書評の記事では、基本的に本内容の全てはご紹介していません。

紹介していない部分の方が多く、ここで紹介している内容には、私の個人的なバイアスがかかっております。

しかし、その一部でも心に響く内容があったのではないかと思います。

どういった形でも良いので、気になった方は是非ご一読ください。

おすすめ度

★ ★ ★ ★ ☆

本書の内容の再現性の高さと、大阪商人、本田清六氏等の考え方が随所にちりばめられている点が良い。ご自身のお子さんや子孫のための遺言のつもりで執筆されたそうです。

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