
コロナ後の不動産価格について
以前は2020東京オリンピックに向かって不動産価格は上がり、
オリンピック後は下がるという単純な論が一般的でした。
ところがコロナウイルスが蔓延し、オリンピックも延期となりました。
状況は突如一変しました。
状況に応じてすぐに価格に反映する株式とは違い、
市中の不動産価格は、市場に出して、買い手がつかないと判断しなければ下がりません。
また、本当に切羽詰まった売り急ぎ案件の場合でも、
普通は、仲介業者との取引実績や付き合いのある買い手に声をかけて、
個別に話を進めていくことが多いと思います。
それでも全然買い手がいないとか、
高く出しても売れないから安く出そうとか、
そういったマインドになるまでには半年以上はかかるものと考えられます。
そもそも売り急ぎでなければ価格はなかなか下げません。
それでは、
不動産価格について国土交通省が出している「不動産価格指数」をグラフ化したものをご覧ください。

この不動産価格指数は「 年間約30万件の不動産の取引価格情報をもとに、全国・ブロック別・都市圏別・都道府県別に不動産価格の動向を指数化した 」ものです。
これはアパート・マンションの1棟物の全国の数字です。
ざっくりと、流れをつかむくらいで良いと思います。
左端の2008年はサブプライム真っ最中の時、
右端はコロナウイルスが武漢で生まれた時くらいでしょうか。
この図を見ると、日経平均に連動していそうな感じに思えますので、
次に、日経225連動型上場投資信託 (1321)のグラフを見てみましょう。

ざっくりですが、赤枠で囲った部分が、
上記の不動産価格指数のグラフの範囲(2008~2019)ではないかと思われます。
不動産価格指数 は株価にゆったりと連動している様子がわかります。
株価ほど下落せず、株価ほど上昇しない。
このローソク足1本は1か月なので、それほどタイムラグは感じませんが、
不動産価格指数については、下限と上限がある程度ありそうな動き方をしているように見えます。
現在の日経平均は17000円くらいまで下がって2万円弱くらいまで戻していますので、
この水準ですと2015年くらいの水準に近そうです。
ここに連動して動くとすれば、本当にざっくりですが
約15%くらい下落するような動きになってくるのかなという仮説が成り立ちます。
当時とは環境が違い、あまり細かく計算しても意味がありませんので、
「かもなぁ」くらいで思ってもらえるといいと思います。
仮に収益不動産が15%下がると考えると、なかなかお手頃感ありますね。
ただ、いつの時代も割安な物件は誰かがすぐに買いますので、
黙っていてもザックザックと出てくるような状況にはならないでしょう。
不動産価格の下落は限定的か
今回のコロナショックによる株価の下落率は、
「いまのところ」サブプライムショックレベルではありません。
実体経済への打撃はサブプライム級だと思いますが、
2年以上続いたサブプライムショックとは違い、
今回はまだ1~2カ月くらいの期間ですので、
流石にこの期間でサブプライム級の下落をするのは無理がありそうです。
先行指標となる株価が2番底を形成せず、
さらに下値を探る展開にならない限り、
不動産価格についてもそれなりの水準で留まるかもしれません。
また、
各国の金融政策によってお金がジャブジャブになってくると、
そのお金は金融商品に流れてきます。
そして不動産価格も上がってきます。
日本は景気後退入りしたものの、今の状況だけで考えると、
不動産価格の下落は限定的ではないかと、私は考えてます。
とはいえ実体経済は・・・
短期とは言え、実体経済への打撃は相当なものですし、
コロナが無くても日本は景気後退入りしており、
不動産価格は高止まりして、上値余地がない状況でしたので、
不景気の中で金融商品だけが上がっていくのか。
と、考えると、上値も限定的な気がしてきます。
賃貸市場にとって良いことはない
そして収益不動産にとって賃貸需要こそが最も重要な要素です。
今回のコロナによる自粛により、
就業者数は減少していますので、この就業者減によって、
地域の賃貸需要も比例して落ちてきます。
この現象はサブプライムの時に顕著に現れました。
特に地方や郊外の工場勤務者が多い地域は、
賃貸需要が減り、空室率が高くなり、賃料が落ち、
不動産価格が下がり、売り物件もかなり多く出てきました。
今回のコロナショックの影響はまだ全て見えてきていません。
賃貸需要は景気に左右されます。
社会情勢に注視しながら、気を緩めずに頑張っていきましょう。
先を予想して何かをするわけではないですが、
頭の体操としてはこういった局面は色々と知識や経験が蓄積できる良い機会ですね。