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コラム

耐用年数を経過した木造・軽鉄のアパートを買う時の注意点

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収益物件を探す時に、

木造や軽量鉄骨のアパートの売り物件がかなり多いと思います。

その際に注意しなければいけないのが、「耐用年数」です。

そんなことはわかってると思われると思いますが、

今回は耐用年数を全て経過した建物を購入する際の注意点を挙げたいと思いますので、

もう一度確認してみてください。

そもそも耐用年数が経過していると、多くの金融機関が融資してくれませんが、

中には融資してくれる金融機関もありますので、

融資を受けて買うことは可能です。

建物(住宅)の法定耐用年数は?

構造耐用年数(年)
木造22
鉄骨造(骨格材が4㎜超)34
鉄骨造(骨格材が3㎜超~4㎜以下)27
鉄骨造(骨格材が3㎜以下)19
SRC・RC47

建物(住宅)の法定耐用年数は上記の表のようになっていますので、

木造なら22年、軽量鉄骨造は基本的に19年となります。

登記簿上は、軽量鉄骨の場合は「軽量鉄骨造」、重量鉄骨造の場合は「鉄骨造」と書かれています。

当たり前に思いますが、登記簿に「鉄骨造」と書いてあった場合は、

軽量鉄骨ではないということですね。

軽量鉄骨と重量鉄骨は登記簿上分けて考えていますので、上記の表のようにどちらも「鉄骨造」と書いてあるわけではありません。

ちなみに重量鉄骨造は厚さ6mm以上と言われおり、上記表で言うと耐用年数は「34年」確定です。

しかし軽量鉄骨造についてはそれ以外になり、「27年」か「19年」のどちらかということになります。

以前軽量鉄骨造のアパートを購入したときに、大手メーカーに電話して骨格の肉厚を確認したところ、2.3mmと3.2mmの両方を使っているという回答がありました。

この場合減価償却をどうするかは税理士さんや税務署にご相談ください。

銀行的には27年と見てくれる可能性があります。

耐用年数を経過した建物の減価償却期間は?

中古資産の耐用年数

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
  その法定耐用年数の20%に相当する年数

(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
  その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

  なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします

国税庁HPより転載

ということで、

●木造の耐用年数以上の築年数の建物の場合
 22×0.2 = 4.4 ≒ 4

 「4年」


●軽量鉄骨造の耐用年数以上の築年数の建物の場合
 19年の場合 19×0.2 = 3.8 ≒ 3年
 27年の場合 27×5.4 = 5.4 ≒ 5年

 「3年」または「5年」

ということになります。

実際にシミュレーションしてみましょう

実際の売り物件でどのようなシミュレーションになるか考えます。

エリア:地方の中の地方
構造 :木造2階建てアパート
築年数:築33年
間取り・戸数:1K10戸
価格:2500万円
満室時想定年収:336万円
表面利回り:13.44%
借入金:2000万円(自己資金500万円)
返済方法:10年2%元利均等返済
土地建物取得価額:土地1700万円 建物800万円 とします

損益計算ではずっと黒字が続き、減価償却期間は4年です。

減価償却期間の4年間はプラスのキャッシュフローになりますが、

5年後から返済が終わる10年後まではマイナスのキャッシュフローになります。

その結果、10年後のキャッシュフロー累計額は約96万円です。

ただし、このシミュレーションには全く負荷を掛けていませんので、

空室損や、原状回復コスト、広告料など、お金のかかる費用を考慮していません。


初期投資した自己資金は諸費用込みで880万円です。

この初期投資額を回収できるのは表面上14年後となりますが、

上記コストを加味すると、もう数年かかりそうです。

結果を考える

このようなパターンの物件は多いと思いますが、

この物件で考えると、

自己資金1割で融資を受けて購入した場合

PB(自己資金の回収年数)=14年以上 と高くなり、

非常に効率の悪い投資になります。



かと言って、自己資金0のオーバーローンで買った場合でも、

初年度からマイナスのキャッシュフローが続き、

やはり累計キャッシュフローがプラスになるのは14年以上になります。



さらにまた、全額自己資金で購入した場合でも、

自己資金を回収できるのは13年後になっています。

表面利回り13%となっていても、

所有期間中の経費や税金まで考慮すると、

実際の回収期間がかなり長くなることがわかりますね。

もう一度言いますが、

このシミュレーションには空室リスクや、原状回復コスト、広告費等が考慮されていません。

個人的な解

このような物件を買っても、リスクばかりで儲からないと思いますが、

詳細にシミュレーションしなかった場合は、

収入が月額28万円で、経費が約4万円で、2000万円の返済が18万円なので、

月額6万円程度のCFがあるように思ってしまいます。

が、実際は恐らく0に近い数字になっていくと思われます。

そこで、この物件で収益を上げるとすれば、

相当な安値で買う

または、

減価償却が切れ、返済が進み、税率が有利な時に売却する

または

賃貸需要が見込まれれば建替える

くらいしか方法がないのではないかと思います。

なお、売却価格については、

地方で人口減少下であること、築年数が40年程度になること、

を考慮すると、買った値段以上では売れないと思われます。

保有期間中のCF累計額と、融資の返済額分が利益になるイメージです。

仮に新築した場合に需要が見込まれる立地の場合は、

当面現況でCFを得て返済額を減らした上で、立ち退きで全空にし、

借り換えして新築APを建てるという壮大な計画もありえますが、

人口減少地域ではかなり難易度が高いと思います。

全空期間を耐える体力と、全体計画を立てる設計力が必要です。

また、

耐用年数を経過した高額なアパートを購入する場合は注意してください。

きっと減価償却後に恐ろしいマイナスのキャッシュフロー期間があるはずなので、

必ずシミュレーションした上で、勝機を見出してください。

ということで、

基本的には融資期間を減価償却期間内に納めることが理想的です。

完全一致でなくても大丈夫ですが、減価償却完了から融資の最終返済までの期間が長い場合は要注意です。

しかし一概には言えませんので、必ずシミュレーションして、

長期的な数字の推移と出口戦略を確認しておくことが大切です。

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