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J-REIT コラム

REITに学ぶ不動産賃貸業の成長戦略

更新日:

REITの成長戦略の考え方を確認しましょう

今回は、J-REITの決算資料を見て、

REITの投資法人がどのような考え方で投資運営しているか考えていきましょう。

REITの投資法人はギガ大家さんですので、

先輩大家さんとして参考になる部分がかなりあります。

不動産賃貸業者も、このREITの決算資料に学ぶ部分がかなりありますので、

是非この機会に事業としての不動産賃貸業の姿勢や対外的な説明等の参考にしていただければと思います。

今回はJ-REITの中でも居住用に特化した「サムティレジデンシャル投資法人」(以下「サムティ」と言います)の決算説明資料を使って確認していきたいと思います。

成長戦略の基本方針

サムティレジデンシャル投資法人2020年1月期決算説明資料より抜粋

概要は全てこの表にまとまっております。

どの投資法人も、主に「外部成長」と「内部成長」と「財務運営」に分けて成長戦略を立案、実行、評価しています。

不動産投資系のセミナーや本等では見かけない用語ですが、

不動産賃貸業の経営を考えるときにとても便利な用語だと思いますし、

事業の評価をするときにとても便利で、銀行等への説明にも使えると思います。

外部成長とは

不動産投資信託(REIT)で、新たな不動産取得による一口当たり利益の成長のこと。低い資金調達コストで高い利回りが期待できる不動産を新規に取得することによって得られます。また、新規不動産の取得によって、規模拡大やリスク分散の効果が期待できるうえ、スケールメリットから取引コスト削減も見込まれ、成長につながります。

大和証券HPより転載

つまり広い意味で「物件の取得」による規模の拡大のことですが、

「物件入れ替え」によるポートフォリオのクオリティ向上も外部成長に該当します。

築年数の古い物件を売却して、築年数の浅い物件を購入するとか、

立地や稼働率がいまいちな物件を売却して、好立地高稼働の物件を購入するなどして、

運用の効率化や安定化を図る戦略です。

また、上記サムティの表には「含み益の顕在化」という言葉があります。

先日「含み益をBSに反映させる」でも書きましたが、

売却により、BSに反映されていない「含み益」を利益として反映させることができますので、

これにより、財務状況を健全化させることができます。

このように、物件の箱の部分を増やしたり、入れ替えたりすることで、ポートフォリオを成長させていくのが「外部成長」ということになります。

サムティレジデンシャル投資法人2020年1月期決算説明資料より抜粋

内部成長とは

不動産投資信託(REIT)で、既に保有している不動産の稼働率や賃料の上昇、管理コストや経費の削減などによる一口当たり利益の成長のこと。

大和証券HPより転載

既存の物件から得られる利益を最大化していくのが「内部成長」です。

この「内部成長」によって、保有期間中の収益も上がるわけですが、

それにより「含み益」や「評価額」が上昇し、

「外部成長」にもつながっていく好循環が出来上がります。

「内部成長」の方法には、主に「設備投資」と「稼働率の向上」があります。

「設備投資」とは、外壁塗装、共用部や専有部のバリューアップ(リノベ等)のことで、

一時的に費用は掛かりますが、これが稼働率の向上や賃料の上昇につながり、

ひいては「評価額」や「含み益」の上昇につながっていく重要な投資です。

「稼働率の向上」は、設備投資も手段として含まれますが、リーシングにかかる営業努力や徹底的な清掃維持管理などの地道なものも含まれます。

事業感覚のない所有者の収益物件はほとんどこの「内部成長」ができていませんので、

築年数に合わせて設備の老朽化、稼働率の低下、賃料の下落が起こり、物件価格そのものも下落していくわけです。

以前も引用した下図のとおり、「内部成長」により、

建物の経年の価値下落を抑えたり、向上させることが大切です。

アドバンス・レジデンス投資法人第28期決算説明資料から抜粋
サムティレジデンシャル投資法人2020年1月期決算説明資料より抜粋

財務運営とは

サムティの表にある「財務運営」の中で、一般の不動産賃貸事業者に関係するものは「財務コストの低減」になるでしょう。

ちなみに決算資料の中では次のような説明があります。

サムティレジデンシャル投資法人2020年1月期決算説明資料より抜粋

サムティの場合、借入金の平均残存年数が3.1年となっていますが、

REITの場合借入期間が短く、借り換えによりつないでいくので、

借り入れ条件を見直す(有利な条件で借り換えをする)チャンスが毎期あります。

逆に言うと状況によって借り換えができなかったり、不利な条件になることもあるわけなので、

そういったリスクを回避するため、「長期かつ固定金利」という方向性をもって交渉していっているようです。

ちなみに「LTV」50.7%とありますが、

「LTV」とは、借入金比率のことで、「有利子負債÷総資産」で計算されます。

J-REITの場合50%が基準になっていることが多いですが、

あなたご自身の決算書で「LTV」を計算して算出してみると、

「50%」の基準が実感できるのではないかと思います。

返済比率とは異なります。

返済比率は 「返済額÷収入」 になります。

どちらも決算のバランスを評価する際に使えますが、J-REITでは「LTV」を重視しています。

このように

各々の不動産賃貸業においても

「外部成長」
「内部成長」
「財務運営」


の3つに分類して、決算時に事業を評価してみることをオススメします。

きっとバランスの取れた事業評価ができるものと思います。

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