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コラム

人口動態を調査して不動産を買おう

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J-REITの投資法人は人口動態や不動産の需給動向に基づいて、

首都圏中心のポートフォリオを構築しています。(もちろん地方分散型もありますが)

一方、個人の不動産投資家は、人口動態や需給にかかわらず、

現状分析に基づいて投資活動をしていることが多いと思います。

現在までは、ほとんどの地方都市で人口増加傾向が続いておりましたので、

あまり人口動向のことを考えなくてもその影響を受けることはなかったかもしれません。

しかし、

いち早く人口減少が起こっているような地方の中の地方都市では、

賃貸の需給動向が急激に悪化し、

頑張ってリノベーションしても全く反響がないとか、

不動産業者も2極化して、管理会社を間違えると全く入居が決まらないとか、

それによって収益不動産の価格が急落し、それでも買い手がつかないとか、

そういった現象は既に起きています。

2015年から2040年までに全体として人口が増える自治体は、

100万人以上の市町村では「さいたま市」・「川崎市」・「福岡市」のみ。※1

都道府県単位で見ると、人口が増えるのは「東京都」のみですが、

その東京都でさえも、2025年が人口のピークとの試算が出ています。。

※1「未来の地図帳」講談社現代新書 河合雅司 著 より
 ただし、国立社会保障・人口問題研究所の情報と異なる部分もありますので、いくつかのデータを比較しておいた方が良いです。

東京一極集中が止まらない

地方の大都市には、その周辺からどんどん人が集まってきますが、

それ以上に地方の大都市から東京への転出が多く、

全国津々浦々から東京に人が吸い込まれていくようなイメージです。

西の大都市である大阪府を含む関西圏も例外ではなく、

東京都への転出超過となっており、人口減少が起こっています。

地方の都市は周辺自治体から人口を獲得して来れるわけですが、

次第に周辺自治体の人口も減ってくるため、

地方都市も衰退の一途を辿ることになります。

さらに、その日本中から人口を吸い上げている東京都でさえ、

東京都の予測によると、2025年をピークに、

人口減少が始まる
とされています。

東京都政策企画局公表資料「2060 年までの東京の⼈⼝推計」より転載

人口減少は緩やかに見えるけど

近年まで人口が増えて来たことの一因に、

長寿化が挙げられます。

生まれた数が少なくても、寿命が延びればその分人口は減りにくくなります。

65歳以上の老年人口は、しばらく増加します。

国立社会保障・人口問題研究所日本の将来推計人口(平成29年推計)より

上記図によると、老年人口が微増する一方で、

生産年齢人口や年少人口が激減することがわかります。

また、

現在までに人口が維持できていたのは、

老年人口の急激な増加によるものであったことがわかります。

人口だけで見てみると、それほど減っていないように見えても、

その内訳の生産年齢人口を見てみると、

毎年激減しているわけです。

つまり、人口全体の減少以上に、経済活動への影響は毎年強まってきているわけです。

マクロとミクロでは違う

どの地域でも、生産年齢人口が減り、老年人口の割合が増えていく傾向は変わらないでしょう。

ただし、先述の統計情報はマクロ的なものであって、

ミクロの視点で見ていくと少し印象が変わっていきます。

人口問題は日本全体や都道府県単位で見ていくことが多いですが、

各市区町村単位で見ていくと、

逆に人口が増えていくところもあります。

国立社会保障・人口問題研究所の「参考表 政令市の区別の将来推計人口」によると、

2020年から2035年までに人口が増えている区は、例えば、


福岡市「博多区」・「中央区」・「西区」

・広島市「安佐南区」

・札幌市「中央区」


など、区別に見ていくとたくさんあることがわかります。

これらの区の中でも、エリアによっては人口減少するエリアもあるし、

同様に減少する区の中でも、エリアによっては人口維持できるところもあります。

なお、都市全体では、「川崎市」「横浜市」「福岡市」のみ人口増となっています。

また、2005年から現在の2020年までは政令指定都市のほとんどが90%以上の人口を維持できています。

しかし、今後2035年までを見てみると80%を下回る区が出てきます。

それらの区を見てみると、現在すでに入居募集が苦戦しているエリアのある区であることが共通していると私は経験的に感じています。


2035年までに80%を下回る区


・札幌市南区
・横浜市旭区
・名古屋市南区
・京都市東山区
・大阪市此花区、大正区、東淀川区、生野区、旭区、東住吉区、西成区、住之江区
・神戸市長田区、須磨区、垂水区
・広島市東区、安佐北区
・北九州市(小倉南区、八幡西区以外)



これらの一部地域では、現在すでに賃貸需要に陰りが見えている地域があるのではないでしょうか。

既に賃貸需要が減少し、売買においても買い手のつかない不動産が見られる地域があるのではないでしょうか。

これらの地域の状況が、その周辺に急激に範囲を広げていくはずです。

この先、

人口減少、特に生産年齢人口の減少が地域経済に与える影響が顕在化してくると思います。

長期事業となる不動産賃貸業において、人口動態は押さえておくべき情報ですので、

人口減少リスクを加味した上で事業運営をしていきましょう。

※人口動態を調べるうえで、出典元により数字が異なることに気が付きました。概ねの流れは同じなので、細かい数字は調査主体により異なることをご承知おきください。

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