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コラム

経産省令和2年度第2次補正予算(案)による支援内容について

更新日:

2020年4月30日に成立した第1次補正予算の内容に追加して、

第2次補正予算が5月27日に閣議決定され、6月12日までに成立の見通しです。

今回の第2次補正予算の目玉は「家賃支援給付金」となっており、

不動産に深く関係する内容となっておりますので、

ご紹介しておきたいと思います。

なお、その他の内容については、大きく変わったり、関係が無かったりするものだと思いますので、

不動産賃貸業にとってはあまり意識しなくても問題ない内容かと思います。

その中でも関係ありそうな部分については簡単にご紹介したいと思います。

家賃支援給付金

家賃支援については、現在までに大きな問題として、

メディア、知事、議員の中からも多くの議論や意見が出されてきました。

当初は、「大家だけが損すればいい」という乱暴な意見が多く、

家賃の減免要請に対して配慮せよとの要請があったり、

それに対する支援策も、


・社会保険料の猶予

・固定資産税の減免

・減額分の損金算入可


など、限定的な支援策にとどまっておりました。

玉木議員などは、モラトリアム法案として、

金融機関が間に入って立替え回収を行うという内容を野党で取りまとめて国会に提出しておりました(提出予定だったかも)が、


・テナントは原則返済義務がある

・ただでさえ忙しい金融機関にさらに業務負担を負わせるのは酷


などの問題点もありました。

それらの問題は、今回の第2次補正予算で「家賃支援給付金」で解決できそうです。

ただ、これができるなら1次補正でやってほしかったですね。



家賃支援給付金の内容

1 給付対象
テナント事業者のうち、中堅企業、中⼩企業、⼩規模事業者、個⼈事業者
等であって、5⽉〜12⽉において以下のいずれかに該当する者。
• いずれか1カ⽉の売上⾼が前年同⽉⽐で50%以上減少。
• 連続する3ヶ⽉の売上⾼が前年同期⽐で30%以上減少。

2 給付額・給付率
 給付額は申請時の直近の⽀払家賃(⽉額)に係る給付額(⽉額)の6倍
(6カ⽉分)。
 給付率は2/3、給付上限額(⽉額)は法⼈50万円、個⼈事業者25万円
とし、6か⽉分を給付する。加えて、複数店舗を所有する場合など、家賃
の総⽀払い額が⾼い者を考慮して、上限を超える場合の例外措置を設ける。
※⽀払家賃(⽉額)のうち給付上限超過額の1/3を給付することとし、
給付上限額(⽉額)を法⼈100万円、個⼈事業者50万円に引き上げる

経産省公開資料(第2次補正予算案)より

持続化給付金に要件が似ていますが、

期間が5月~12月までの期間という制限があります。

初め見たときは2019年12月~2020年5月での売上減少と思っていたのですが、

5月の緊急事態宣言延長を受けての支援策という名目なので、

素直に2020年5月~2020年12月ということであろうと思われます。

この議論は2020年4月を中心に上がっていたので、4月が含まれていないのはおかしな感じがしますが、

4月も5月も前年比の売上は相当減少していると思いますので、

実質は同じなのかもしれません。


給付額については、法人は月額上限50万円、個人は月額上限25万円です。

それ以外は多店舗展開等の例外規定です。

月額家賃を2/3して、6ヵ月をかけます。

例えば個人の飲食店で月額家賃30万円のところで考えると、



30万円×2/3×6か月=120万円



が給付額になると思われます。

実質4か月分の給付となっていますね。

売上が激減したであろう2020年3月から、

少しずつ回復しつつある2020年6月までの家賃は、

これでカバーできるようなイメージになるでしょうか。

金額によって実質給付額が変わりますので、あくまでも参考程度ですよ。

いずれにしても返済の必要のない「給付」金ですから、

テナント事業者さんはとても助かりますね。

その他資金繰り支援の拡充

日本政策金融公庫や民間金融機関による融資の融資枠が拡充されました。

【日本政策金融公庫】
貸付限度額:国⺠生活事業 6千万円 ⇒ 8千万円
利下上限額:国⺠生活事業 3千万円 ⇒ 4千万円

この利下上限額というのは、

当初3年間の基準金利-0.9%の対象になる部分のことです。

【民間金融機関】
• 保証料ゼロまたは1/2、都道府県による利子補給の上限額
 3千万円 ⇒ 4千万円

金融庁5月22日発表資料によると、

各金融機関は「かなり」柔軟に対応している様子です。

○ 事業者からの条件変更等の相談があった場合には、審査を行うことな
く、まずは、3ヶ月の元金据置ないし期限延長を実施
○ 事業者からの相談を受け、これまでの事業実績の評価に基づき、今後
も事業を継続させていくため、1年間の元金据置・期限延長を実施
○ 受注が大幅に減少した事業者に対し、積極的な支援策としてまず1年
間の元金据置を実施。将来の資金面の見通しがついた時点で、見通し
に合わせ返済期限を柔軟に延長予定
○ 返済財源等に見通しが立たない場合に、一旦、6ヶ月程度の短期資金
の貸出で対応し、その間に資金面・事業面でどの様な対応策が考え得
るか、事業者とともに検討
○ 事業者の不安を解消するため、コロナ関連の特別融資(プロパー)の
返済期間を 10 年から 15 年へ、元金据置期間を2年から5年へと延長
○ テナントの家賃支払いを1年間減免しているビル所有者への融資に
ついて、同期間の元金据置・期限延長を実施
○ テナントの家賃支払いを1年間猶予したビル所有者に対して、家賃収
入の減少額に相当する金額を、複数の民間金融機関が協調して融資実

○ 2年以内の元金据置であれば案件問わずに支店長専決権限として、条
件変更を実行
○ 条件変更等にあたって通常であれば支払いを求めている違約金・手数
料等について、本部からの明確な指示の下、一律に免除
○ 住宅ローンに係る返済猶予等の相談について、審査を行わずに最長1
年間の元金据置等を実施

金融庁「新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例」より

基本的に融資は返せる人に貸すものですので、

コロナに関係なく業績不振だったり、コロナに関係があっても回復の見込みがない企業や個人に対しては、

貸し倒れになるだけですので、金融機関としては融資できません。

業績が悪いだけでは借入は難しい。

返済できる見通しがあるから借り入れができる。

ただ、この状況下で銀行員さんもどれだけのリスク管理ができるかと言われたら難しいでしょう。

貸倒引当金の積み増しや、貸倒損失は覚悟の上での融資になることが多いと思います。

ただ、保証協会の保証付き融資であればリスクは限定的ですし、

結構(数字的に)喜んで貸している行員さんの話も聞きます。

我々は、粛々と返済をして、また普通に借りていきましょう。

※この記事は2020年5月31日時点のものですので、案のとおり予算案が成立するとは限りません。成立後に再度内容ご確認ください。

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