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コラム 融資

コロナ融資に伴う公庫の差入担保の返還とコロナ融資の取り扱いについて

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公庫に不動産を担保提供するメリット

不動産を購入する時に、融資の条件として不動産に抵当権や根抵当権を設定すると思います。

日本政策金融公庫(公庫)も同様に、不動産購入に際して不動産を担保提供することがあります。

しかし、公庫が民間金融機関と違う点は、



・無担保枠があらかじめ設定されているということ

・無担保枠を超える場合、不動産等の担保提供をすることで枠を超える融資が可能になるということ




です。

もちろんケースバイケースで総合的に判断するものですので、必ずガチガチにこうなるというものでもありませんし、

業種や業歴や業況によっても違うでしょう。

少なくとも私の経験では上記のようなスタンスで融資がされていました。

公庫の融資で不動産を購入する場合、

融資よりも前に不動産に担保設定をする必要がありますので、

公庫を利用する場合は、


現金で不動産を購入 → 担保(抵当権)設定 → 融資実行 → 引渡し


という流れになりますので、

基本的にまずは現金で不動産を購入することが求められます。

ただし、手元に抵当権のない不動産がある場合は、

それを担保に融資を受けることができます。


手持ちのA不動産に抵当権設定 → 融資実行 → B不動産引渡し


こうするとB不動産には抵当権が付かない状態で保有することができます。

また、年数が経つにつれて、B不動産に対する融資残高が減っていきます。

この減った部分については、新たに不動産を購入する際の枠として利用できます。

公庫のデメリットは、担保を先に提供しないといけないという部分ですが、

これをクリアできれば、提供した担保の範囲内で、かなり自由度の高い融資が期待できます。

民間金融機関のように過度に担保を取ったり、融資以外のお付き合いも必要なく、

さらに手数料が無料に近い上に、抵当権設定時の登録免許税も不要です。

高額物件の融資には向かないですが、金融機関としては第一にお付き合いしていくべきです。

普通貸付からコロナ特別貸付に借り換えをしたら

今回、コロナ特別融資を受けることができ、

既往債務を全てコロナ特別貸付に借り換えることができました。


【参考記事】
2020年4月26日「公庫の新型コロナ特別貸付が承認されました」


この時は担保提供していた不動産についてはそのまま残しておくものと思っていましたが、

最近公庫さんから電話があり、抵当権抹消の書類をお送りするので抹消の登記申請をしてくださいとのことでした。

コロナ特別貸付は無担保なので、既往債務に担保提供していた分も無担保に変換してくれるようです。

この「担保提供してた分のリスク」は誰が負うのでしょうか。

どう考えても公庫さんでしょう。

個人的には有難いですが、公庫さん全体としてはとてつもないリスクを背負わされてしまっているようです。

なんというか、何とも言えない気持ちになります。


抵当権抹消登記申請

登記申請はそれほど難しいものではないので、

基本的には自分でできます。

登記申請書は法務局のホームページでダウンロードできますし、

他にも教えてくれるホームページが多数あります。

公庫利用の場合は自分で登記申請できる時間的な余裕がありますので、

社会勉強のために自分でやってみてもいいと思います。

私も公庫を利用する時は自分で登記申請することが多いです。

ただ、どれだけ調べてもやはり細かい部分は間違っていますので、

自分で完成させた後に、法務局に行って修正してもらった後に申請しています。

今回の抹消申請も自分で作って申請しました。書類は次のとおりです。

添付書類の何が要るのか要らないのかよくわからなかったのですが、

法務局の人に聞いて「弁済証書」・「委任状」・「登記識別情報」だけあれば良いことがわかりました。

公庫の場合抵当権設定時の登録免許税は非課税ですが、解除は通常の1筆1000円が必要です。

今回の抵当権抹消登記は2000円+送料でできました。

司法書士さんに頼んでも1万円以内+実費くらいでやってくれますので、

それほど金銭的なメリットはないかもしれませんが。

最後に疑問をぶつけてみました

抵当権の電話があった時に、ついでに疑問に思っていたことを聞いてみました。

Q
「通常の融資を全てコロナ特別貸付に移した時に、通常の融資の枠が初期化される等して、無担保枠が復活したり、今後融資が受けやすくなったりすることはあるのでしょうか?」

A
「いつ申し込まれるかにもよりますし、現段階ではまだ整理できていない状況です。しかし、無担保枠については、現在コロナ特別貸付によりほとんどのお客様は超過している状況と認識しております。」

コロナ特別貸付は「別枠」での融資ということになっております。(下記参照)

経産省コロナ対策パンフレットより転載

通常枠から特別枠に全部移ったとすると、通常枠が空っぽになるような気がしますよね?

その流れで考えていくと、使い勝手の良い「無担保枠」も空っぽになるのではないかという疑問が生まれてきます。

そこで上述の疑問を公庫の方に聞いてみたのですが、

まだ整理できていないという段階ですが、担当の方の現状の認識では、

通常枠の無担保枠はすでにコロナ融資で使われてしまっているということです。

ということは、コロナ融資という別枠の名目だけれども、

公庫さんとしては担保不足状態なので、

返ってきた不動産を改めて担保提供しても、それが新たな融資枠として取り扱ってもらえるかは未知数です。(既に担保不足なわけですからね)

少なくともコロナ融資に借り換えたからと言って、今後の融資が受けやすくなるということはないでしょう。

むしろ・・・

事実上のリスケであり、要注意先になるか?

今後整理されてくると、コロナ融資と通常融資の区別や取り扱いが明らかになってくると思います。

コロナという全国的な問題という特殊事情はあるにしても、

既往債務の借り換えは経営に問題がある企業に対して行うものですから、

金融機関の格付けで言うところの「要注意先」扱いにされても不思議ではありません。

融資を受けた以降の決算で良い数字が出ていなければ、

次の融資は難しくなる可能性もあります。

とにかく今は耐えながら、粛々と返済していくしかないでしょう。

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