
これから不動産投資を始めようと思っている方向けの記事が少ないと思いますので、
少しそういった方向けの記事も書いていきたいと思います。
どの人にどの不動産が適しているかというのは正解がありませんが、
自己資金が少なく、知識も経験も少ない1棟目の購入段階で
何を買うのがリスクとリターンのバランスが良いかということを考えていきたいと思います。
目次
新築建売アパートはどうか
私が実際に1棟目に買ったのは新築建売木造アパート(6戸)でした。
私がその物件を購入した理由は
1 新築だったこと
2 大学エリアだったこと
3 利回りが10%以上だったこと
4 融資が付いたこと
5 妻の理解があったこと
以上のような理由です。
正直「3」については今ではほとんど再現性がありませんので、
単にラッキーだったといって差し支えないと思います。
しかし新築というのは建物の不具合もありませんし、
入居者の入れ替えも非常にスムーズで、
管理運営が非常に楽です。
1棟目としては結果的に非常に良かったと今でも思います。
買った後は購入者の実力があまり試されないため、
買う前の方が重要かもしれません。
1棟目は知識も経験もありませんので、
年収の10倍以上もある不動産を借金して買うというのは、
重圧と不安と緊張を感じました。
ただ、それ以上に不動産を買っていこうという意欲があったので購入に踏み切ったわけです。
しかし新築木造アパートで6%とか7%とかの物件を買ってしまうと、
残債よりも物件の価値の減価の方が大きくなる可能性があり要注意です。
【低利回りの新築AP】
残債 > 建物の時価
これに関してはしっかりシミュレーションしないといけませんが、
1棟目の時にそれほどしっかりとシミュレーションできるかというと、
非常に厳しいのではないかと思います。
シミュレーションして、何年後にいくらで売却するという前提で所有した方が良かろうかと思います。
超長期保有の場合、建物の老朽化と家賃の下落と耐用年数切れによって、CFがマイナスになってくると思います。
ということで、やはりおすすめはできないです。
買うとしたら現金一括か、半分くらい自己資金入れて買うくらいの気合が必要だと思います。
しかし、首都圏の13000万円で表面利回り7.7%新築アパートについてざっくりシミュレーションしてみたところ、
意外にも良い数字が出ました。
30年1.5%の借入という恵まれた条件下でのシミュレーションですが、
耐用年数が切れる22年まではプラスで推移しそうです。
ただし、首都圏の物件かつ自己資金が1000万円以上ないと難しいと思われます。
首都圏と地方都市で同じ尺度で計算はできないです。
特に今後は。
ということで、新築木造アパートについては様々な好条件が重ならなければ利益を出すことは難しいのではないかと考えています。
新築するのはどうか
それでは高利回りのアパートを新築するのはどうかということですが、
高利回りのアパートを新築するためには、
土地値は安いけど賃貸需要があって最低家賃が高いエリアに建築するしかなかろうと思います。
結局新築って土地が最重要なので、収益性の出る土地をいかに見つけるかということになるでしょう。
工務店さんにヒアリングしながら、新築のプランニングをして土地購入・建物建築するのは非常に高いレベルの話で、
1棟目からこれができる人は、たぶんなんでもできる!
しかしながら、新築戸建賃貸であれば、それほど難しいこともなく、
事業総額から時価がそれほど値崩れすることもなく、
自分で住むなり売るなり貸すなり、どうとでもできますので、
新築するのであれば、戸建賃貸という選択肢はありかなと思います。
ただしこの戸建賃貸についてもCFが出にくい難点はあります。
しかし、「 残債 < 時価 」 になる計画を立てやすいので、
ミドルリスクミドルリターンといった感じでしょうか。
中古の木造・軽鉄アパートはどうか
結論から言うと今、私だったらこの部類を1棟目に買うかなと思います。
対象としては13%以上で2千万円以下の古めかしい物件です。
これを自己資金3割~5割くらい入れて5年から10年くらいの期間で(できれば)公庫から借ります。
これをしっかりリフォームと管理をしながら6年後に売却します。
理由はつぎのとおり
・買いやすく売りやすい価格帯(2千万円以下の理由)
・勉強とレバレッジのために融資は使いたい(融資利用の理由)
・公庫の無担保枠で購入できる可能性がある。特に公庫にこだわらなくてもいいけど、手数料と金利が安い。(公庫の理由)
・売却できない(しない)場合にデッドクロスのダメージを減らすために借入金額を抑えたい(自己資金3割~5割の理由)
※自己資金ない場合はフルローンで買って6年後に絶対に売るか、完済する。
・キャッシュフローはしっかり出したい(利回り13%以上の理由)
・内部成長(内外装リフォームによる物件価値の向上)の余地がある物件がいい(古めかしい物件の理由)
・長期譲渡所得になる約6年後かつ耐用年数が切れる5年目以降に売却しておく(6年後に売却の理由)
恐らくこのような物件であれば知識と経験と利益を得ながら運用することができるかと思います。
なお、本業が忙しい人には向いていません。
私は基本このタイプの物件で研鑽を積んできましたので、
エリアには注意してほしいものの、1棟目にはオススメです。
築古(ボロ)戸建はどうか
基本的に築古戸建が一番リスクが低く収益性が高いと思います。
広島では数年前までは予算的に300万円が標準的だったと思っていますが、
最近はあまりこの価格帯の物件が放置されていることが少なくなりました。
ちょっと話はそれますが、
人口が少なく、需要の少ないエリアの場合、極端に安い価格で家を買えたりします。
その場合、「売買需要は無いが賃貸需要は0ではない」という市場の歪みを利用した投資が可能です。
ただし、そのような市場が成立するのは歪みがある状況下のみであって、
多数の投資家がそういったエリアの物件を購入し、賃貸供給数を増やしたりすると、すぐに
「 需要 < 供給 」
となり、成り立たなくなります。
そのリスクをボロ戸建の価格があらかじめ織り込んでいる状況なわけです。
もちろん、まともな価格のボロ戸建でも、同様のことが起こっています。
つい数年前までは
「 需要 >>> 供給 」
であった戸建賃貸市場も、
多数の投資家の参入と需要の減少によって最近では
「 需要 = 供給 」
くらいにまでバランスが変わってきたような気がしています。
いずれ
「 需要 < 供給 」
となることは避けられません。
さて、話は元に戻りますが、築古戸建投資市場の盛り上がり等により、
ボロ物件の相場が高くなるという事象が起こっています。
ボロくて立地も悪いのに価格は普通 という物件が多くなりました。
これによって築古戸建投資に必要な予算額も高くなってきており、
かつ賃貸需要を獲得できそうな物件の購入自体も(供給不足により)難しくなってきています。
仮に購入できた場合でも、
融資を利用するとCFが1万円とか2万円になることが多いです。
かと言って現金一括で購入すると300万円で家賃5万円の場合ですと、
超単純計算でも初期投資金額の回収に5年以上(通常6年以上)かかります。
その間ほとんど入退去はありませんが、建物の老朽化と設備不良との闘いになります。
ですので、標準的なパターンで考えるなら、
リフォーム込みの総額が300万円より低い価格で買うとか土地の価値が高いエリアの物件を買うとか、
そういったことが必要になるかもしれません。
ということで、
1棟目としては投資金額も少なく、収益性が高いためオススメではありますが、
以前ほど安価で放置されている物件が少なく、
ハードルが高くなっているため、購入の難易度が高くなっています。
自己資金のゆとりがあれば、戸建を現金でというのは良いと思います。
RCはどうか
RCは耐用年数47年という圧倒的なアドバンテージがありますので、
1棟目だろうが10棟目だろうが、
良い物件が出れば買いましょう。
ただし滅多に出ません。
そして耐用年数の残存年数には気を付けましょう。
話はちょっとそれますが、
同じ築30年でも、
「今の築30年の物件」と「今から10年後の築30年の物件」は
設備のグレードが違ってきます。
そして恐らくそれ以降(おおよそ2000年以降の新築物件)は設備の進化がそれほどありませんので、
おおよそ2000年以降の新築物件については
恐らく築古になっても価値が落ちにくいのではないかと予想しています。
築浅と築古の差が小さくなってくる時代になるような気がしています。
区分所有はどうか
共用部の維持管理を自分でコントロールしにくいというところが、
メリットでもあり、デメリットでもあります。
私も区分所有はいくつか所有していますが、
私にはあまり向いていないかなと思います。
新築1Rとかはやめといたら?と思うことが多いですが、
個人的にあえて1棟目にオススメというものでもないかなと思います。
共用部についてもある程度自分自身で色々と考えて動いて、
経験と知識が積めるものの方が良いような気がします。
1棟目に期待すること
以上ザックリな内容のものもありましたが、
「個人的な好き嫌い」や「1棟目」という縛りの中での話です。
それぞれ専門に投資していらっる方もいますので、
どれもやりようによっては上手くいくわけです。
私としては次のような要件が必要と考えています。
【1棟目に期待する要件】
・総事業費が小さいこと
・利回りが高いこと
・融資を経験できること
・物件価値の向上の余地が大きいこと
私個人の話ですが、
1棟目、2棟目は利回り10%程度の新築木造アパートでした。
その次は1200万円で利回り30%の築古木造1棟アパートでした。
この築古木造アパートのリフォームや入居募集、維持管理によって、
今の知識や経験のベースができましたので、
やはり上記のような要件に当てはまる物件を最初に所有していると、
後につながる良い経験ができると思っています。
その後ほとんど全ての種類の物件を所有してきましたが、
やはり構造に関わらず築古アパートが一番オススメです。
以上、ご参考になれば幸いです。