
太陽光発電といえば、毎年単価が下がって来ていて儲からない、
そんなイメージがあると思いますが、半分はそのとおりです。
10kw以上の産業用太陽光発電は、採算を取ることが非常に難しくなり、
参入障壁の低い「低圧」と呼ばれる10kw以上50kw未満の設備については、
基本的には終わりを迎えたと言っていい状況です。
(※詳細は資源エネルギー庁のHPをご参照ください)
現在は転換期と言えそう
太陽光発電による電気の固定価格買取制度は、
再生可能エネルギーの普及のため、設備の量の普及と、それによる調達コストの低減が目的でありました。
目論見通り調達コストの低減により、毎年買取単価が下がっていきました。
しかし、この急速な普及には欠点があり、
制度上、設備の設置場所の要件が特になかったために、
住宅地のど真ん中への設置、急斜面への設置、山林への設置などが可能となっており、
それによる景観の悪化、災害時の被害の増大リスク、森林伐採等の自然破壊等の負の遺産も残してしまいました。
無秩序な開発により、太陽光発電への信頼感や印象悪化が起こってしまっています。

国としては再生可能エネルギーの比率をさらに上げていこうとしていますが、
トラブルの多い低圧の開発は抑えていきたいという前提で動いています。
しかし、現在までに導入コストも十分に下げることができた(これは成功)ので、
今後は「自家消費」と「レジリエンスの強化」というテーマで普及させていくつもりです。
まさに今年度から明確に舵を切ったなという印象で、今が転換期になるでしょう。
ただし、普及させたい割には自家消費型設備開発へのインセンティブが少ないような気がしますね。
蓄電池などの電池の開発のためのインセンティブはもっと必要だと思いますし、
今後「自家消費型の電力需要」が高まるはずなので、それに合わせて蓄電池の開発はもっと進めて欲しいです。
太陽光パネルは安くはなったけど技術革新がほとんどなく、蓄電池は少しずつ性能は上がってきているものの、調達コストが低くなっていません。
家庭用・産業用の蓄電池、電気自動車、その他電動の乗り物、ドローン等々、
普及の余地はまだありそうです。
自家消費とレジリエンス
自家消費というのは字のごとく、
自分で作った電気を自分の家屋(建物)で消費するということですね。
電力の自給自足なんて言ったりもしますが、
当初からこの流れに持っていきたかったわけです。
仮に蓄電池を導入した5kw程度の太陽光発電があれば、
平均的な数値の試算では、その家庭の1ヵ月の電力が全て賄えるそうです。
仮にそうだとすると、
その家庭には電線が無くても良くなるわけですよね。
実際には電力不足やリスクヘッジのために必要ですけれども、
電線への負荷が減ることは間違いありません。
店舗等でも同様です。
店舗・事務所等でも、その消費電力を全て屋根の上の太陽光発電設備で発電させることができる事例もあるようです。
こうすることによって各建物単位で発電して、消費できるわけですね。
2018年9月に北海道胆振東部地震によって、ブラックアウト(大停電)が起きたことは記憶に新しいと思います。
まさか北海道全域が停電になるとは予想できませんでしたし、
電力供給網がこれほど脆弱だったとはという驚きがありました。
その他、自然災害等は毎年のように各地で起こっており、
インフラ遮断等も同時に起こっています。
仮に電力が自家消費型であった場合には、
建物単位で屋根の上で電力を作り、蓄電池に貯め、電力を使えるわけですから、
停電が起こっていても、パワコンと蓄電池が生きていれば、電気が使えます。
このような停電時に、自家消費型の設備で電力を供給することを「レジリエンス」と呼ぶそうです。
この「レジリエンスの強化」が今の大きなテーマになっています。
余談ですが、プロパンガスであれば、電気が供給されていれば使用できますので、
電気・ガスが災害時でも使えます。
また、我が家には180Lの雨水タンクと備蓄用ペットボトルがありますので、
断水してもしばらくは生活できる体制を整えております。
近年大きな災害が多くなってきましたので、今一度皆様も備蓄等の確認をしてみてはいかがでしょうか。
自宅の屋根に太陽光発電を付けてみた
付けてみたと書いていますが、実際の工事は来月です。
2020年は買取単価21円で、期間は10年です。
システム容量は8.9kwで、年間予想発電量は9600kwhです。
今回蓄電池はコスト的に付けないので、日中に発電して、日中の使用電力は自家消費で、
余剰を売電することになります。
日中に自家消費した分の削減電気量は考慮せず、
余剰売電する分のシミュレーションで、年間18万円程度の試算です。
工事費が約170万円でしたので、まあ10年くらいで回収する感じでしょうか。
買取期間は10年なので、トントンじゃないかという感じがしますが、
その後、「卒FIT後の買取価格」などと検索するとわかりますが、
固定価格買取制度終了後に、民間の電力会社が電力を買い取ってくれるようになっています。
中国電力さんですと7.15円(税込)となっておりまして、
これをうちの設備の年間発電量に当てはめると、売電収入68,640円となります。
一方、家庭での使用電力量は統計上月400kwhくらいとのことなので、
年間4,800kwh < 発電量9600kwh
となり、屋根の上の発電量が使用電力を大きく上回るであろうことがわかります。
太陽光発電で家の電力が全て賄えそうです。
この年間4800kwhの電気利用料は、年間約13万円程度の支払いになりそうです。
ということは、蓄電池さえあれば、この年間13万円の電気代を0円にすることができそうですね。
「卒FIT後は、売るよりも使う方がお得になるのです。」
さらに余剰の4800kwhにより売電収入が年間34000円くらい発生します。
そして停電時に電力を使うことができます。
そしてこれが恐らく数十年続くのではないかと思うのです。
そのような長期的目線に立った時、
固定価格買取制度の10年間という期間で設備投資資金を回収し、
さらにその後のメリットにも目を向ければ、
自家消費型の太陽光発電設備というもののメリットがおわかりいただけるのではないでしょうか。
10年後までに蓄電池がどうなっているのか、期待しております。