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コラム

PB(自己資本回収期間)を基準に自己資金を投下

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自己資金をいくら使うかというのは結構アバウトに決めていたりしないでしょうか?

私も当初は融資の返済額との兼ね合いで調整していたりしましたが、

最近はPB(自己資本回収期間)という指標を基準に自己資金の額を決めています。

フルローンでも銀行が求める1割りとか2割とか(10年前は3割基準が多かったんですが最近はあまり3割は聞かないですね)でも結構なのですが、

1つの基準としてPBという概念を知っておくと、

毎回論理的なシミュレーションにより物件を購入することができますので、

知っていて損は無いと思います。

PBとは

PBを初めて知ったのは猪俣さんの『不動産投資の出口戦略・組み合わせ戦略』を読んだのがきっかけで、

読了後もそれほど意識していたわけではなかったのですが、2回目か3回目に読み直した際にハッと気づきがあったので、

それ以来意識して使っています。

私のバイブルなので、初心者の方には難しい内容ですが、いつ必ず役に立つ本なので買っておくことをお勧めします。

PB(PayBack):自己資本回収期間

意味:投資した自己資本の回収年数

計算式:E÷BTCFまたはE÷ATCF


『誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組み合わせ戦略』猪俣淳著 住宅新報社出版より引用

E=自己資本(自己資金)

BTCF=税引前キャッシュフロー

ATCF=税引後キャッシュフロー


という意味になりますが、実際に計算する場合は、

E÷ATCF = 自己資金 ÷ 税引後キャッシュフロー

で計算するべきです。

税引後のキャッシュフローベースで、初期投資した自己資金を何年で回収できるか計算する式です。

これを基に、1物件のシミュレーションにおいて自己資金を変化させて、相対的に評価していくわけですが、

絶対的な評価基準も自分で持っておくと良いと思います。

つまり、

私の場合は PB=5(5年で回収) を基準に、長くても10年くらいまでに回収できるように組み立ててきます。

自己資金と借入金額を調整することによって PB も変化しますので、

闇雲に「物件価格の1割」とか、そういった一律の自己資金割合が良いわけではありませんので、

個別具体的に考えていく方が良いと思います。

築古の戸建で考えてみる

実際に少しだけ例を挙げてみたいと思います。

築古戸建300万円を現金で買って、5万円で賃貸に出す場合

表面利回りは20%ですが、税金等を考慮するとおおよそ6年での回収になります。

PB ≒ 6

なので、現金で買ってもまずまずの期間で自己資金が回収できそうです。

築古戸建を300万円を現金で買って100万円でリフォームして5万円で賃貸に出す場合

現金400万円で投資する場合です。

この場合表面利回りは15%ですが、

PB ≒ 9 

となりました。

つまり全額現金を使ってしまうと、回収までに9年以上かかることになります。

実際にはこの期間に入退去が発生する可能性が高いので、

実際は10年以上かかると思った方が良いでしょう。

築古戸建の投資で初期投資の回収にそこまで時間がかかるのはちょっと事業性が薄いような気がします。

そこで借入を考えます。

築古戸建300万円を200万円借り入れして100万円でリフォームして5万円で賃貸に出す場合

自己資金200万円
借入金200万円
(10年返済)

という割合になります。

この場合でも

PB ≒ 8 

となり、自己資金の回収効率は上がらないことがわかります。

次に借入金額を増やしてみましょう。

築古戸建300万円を300万円借り入れして100万円でリフォームして5万円で賃貸に出す場合

自己資金100万円
借入金300万円
(10年返済)

という割合になります。

そうすると 

PB ≒ 4

となり、自己資金の回収効率が非常に高くなりました。

この場合ですと、借入金額は200万円より300万円の方が初期投資の回収効率が良いという結果が得られました。

PBが小さいほど良いわけではない

上記の例ように、

自己資金と借入金額の割合によって、PBが変化することがわかります。

なぜ借入金額200万円と300万円で大きく差が出たかというと、

築古戸建の場合、減価償却が4年になるからです。

当初4年間は減価償却により税額が小さくなりますので、

その分キャッシュフローが大きくなります。

その4年間で一気に自己資金を回収し、その後は緩やかに回収していく感じになりますので、

当初の4年間で回収できる額と自己資金が近いほど、

数字は良くなります。

ただし、

PBにこだわるならフルローンが一番効率が良くなるわけですが、

自己資金が少ない場合には、減価償却後にマイナスのキャッシュフローが発生する可能性が出てきます。

いわゆる「デッドクロス」です。

これが発生してしまうと、借入金を返済するまで毎年マイナスになりますので、

気を付けてください。

つまり、

PBが小さいほど良いわけではなくて、全体のバランスや計画が大切なのです。

その中でPBがあまり長くならないような自己資金の割合を考えていくと、

より計画的な資金計画が作れるものと思います。


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