7月16日に平和不動産リート投資法人(8966)の決算が発表されました。
コロナ禍の2020年5月の決算でしたが、成績はおおむね順調のようです。
この投資法人は、東京都心を中心に、主要地方都市にも物件を保有しており、
住居とオフィスを半々くらいのポートフォリオで運用しています。
総合型のリートに分類され、利回りは現在約5%です。
最新の決算発表になるので、コロナ禍の状況を見てみたいと思います。
オフィスの稼働率

コロナ禍においてオフィスのニーズについて不安視されていますが、
5月末の段階では、稼働率は高止まりしており、期中の平均稼働率は99.7%となています。
さらに新規の需要や、賃料の増額改定もあったようです。
稼働率についてのコメントは以下のとおりです。
影響は見られない。過去の平均水準を上回る稼働率を維持。解約届等の状況を
同決算資料より
見る限り、当面稼働面での心配はない。
としている一方で、オフィス全体の市況としては決算短信に次のように記されています。
新型コロナウイルスによるオフィスビル市況への影響は一部顕在化しており、成約に向けてのテナントの動きは全国的に停滞の様子が見られることから、今後の市況の動向が注視されます。
同決算短信より
どちらかというとコロナのオフィスへの影響は今からという認識でしょう。
他のオフィス系のリートも現在までは稼働率は順調に推移していますが、
今後の見通しについては保守的な想定で動いていますし、何より株価が下落傾向にあります。
なお、稼働中のオフィスについては次のような影響があるようです。
一部の商業テナント、旅行代理店系列のオフィステナントなどから賃料減免
同決算資料より
要請を受ける。コロナの影響を強く受けたテナントに対しては、敷金からの賃料充当や賃料減免等で運営に協力する方針。テナントが受けた影響額の把握、値下げ額の協議などテナントとのコミュニケーションは丁寧にとっていく。
リート全体としては賃料の減免などの影響は比較的軽微のようなので、
それほど悲観する状況にはなさそうですが、
世の中のムード的にも、今後強気な決算予想は出せない状況なので、
平和不動産リートをはじめほとんどのオフィスが保守的な想定でいます。
今後コロナの影響をどの程度受けて、どうなっていくのか、
正直誰もわからないでしょう。
ただ、リートの保有不動産はほとんどが1等地の立地であり、
都心はもうしばらく人口増加します。
個人的にはある程度安定的に推移するものと考えています。
レジデンスの稼働率

コロナの影響はレジデンスにはほとんどないと思っていましたが、
この資料をみると、4月・5月の稼働率への影響がはっきりわかります。
第37期初の12月から3月末にかけての稼働は過去最高を上回る水準で推移。しかし、4月以降については退去数が例年並みの水準となる一方で、入居数が減少したことから稼働率が低下。特に法人需要の遅れが鮮明。この動きは6月の終盤あたりから回復傾向がみられること、追加的なリーシング施策等を打ち出すことで2021年の繁忙期にかけての回復を見込む
同決算資料より
退去は毎年一定数あるわけですが、新規の法人需要が減少したようです。
立地と品質の良い住居なので、制約が無ければ自然に空室率は改善するものと容易に想像できます。
とりあえず、住居にもコロナの影響は出ているということがわかりました。
今後の予想

今後全体的には安定的に推移する見通しようですが、
オフィスは1年かけて稼働率減少想定
住居は1年かけて稼働率増加想定
となっています。
今後のコロナの状況や稼働率についてはだれも予想できませんが、
毎月の各リートの決算で状況を知ることができます。
今後も注視していきたいと思います。