
太陽光発電投資はかなり人気のようで、
販売されたら即完売みたいな状態ですね。
最近は利回り10%が相場みたいになっていますが、
私の基準で考えて計算したところ、とても割に合うものではありません。
ところで、
太陽光発電投資の利回り10%は、収益不動産の平均と比較すると、
魅力的な利回りに見えます。
しかし、実際のところ、不動産とはちょっと異なる視点が必要です。
ちょっと本題の前に太陽光発電投資について
太陽光発電は、基本的にFITと呼ばれる固定価格買取制度に依存する事業です。
20年間は買取価格が保証されていますが、それ以降はまだ未定です。
仮に自由契約となり、電力の小売り事業者に販売する場合、
発電量が多く、ランニングコストの安い発電所でなければ、収支は赤字になります。
ですので、撤去する方が良いということになりますので、
20年後に撤去するという想定が必要です。
最近になって、「FIP」という制度に移行するという話が出てきました。
FIPについては個々にググっていただくとして、
このFIPは大規模の発電所から徐々に制度を適用していくようです。
FIPは卒FIT後もFITの買取価格を保証し、徐々に市場価格に慣らしていくような制度のようですので、
私の理解としては、卒FIT後も数年間は継続的に利益が見込める延命措置のような感じです。
しかし恐らく最終的にはトントンレベルまで行って、小売業者に売却するとか、撤去して撤退するとか、そういった感じになるのではないかと思います。
つまり、太陽光発電はFITの20年間だけの事業ではないことが徐々に明らかになってきたわけです。
そうは言っても、この記事では、話を単純にしたいので、20年間ということにしておきます。
また、太陽光発電の発電事業者には、2022年と2023年に、
撤去費用の積立や、発電側基本料金が導入される予定です。
積立はザックリ1円/kwhとのことなので、低圧の20年間で大体100万円くらいを念頭に置いているんだと思います。まあそんなもんでしょうかね。
発電側基本料金は送配電網の利用料金ということですが、料金の情報はまだ調べておりません。
ちなみにこの経費については、太陽光発電販売事業者の資料等には1mmも出てきませんので、ご注意ください。(たまに1mmくらい廃棄のことが書いてあることがあります)
太陽光発電の事業収益について考える
太陽光発電の例についてとても簡略化して考えてみましょう。
太陽光発電設備 2000万円
売電収入 200万円/年
とすると、
表面利回りは10%となりますが、
太陽光発電設備を20年後に撤去するとなると、
20年後に設備は△100万円になります。
2000万円で買ったものが毎年200万円の収益を生みながら、
自らは20年後に△100万円となりますので、
年間105万円減価するということになります。
つまり、表面的には、2000万円投資して、20年後に元本は0円で、累積収入が3900万円になるという事業なわけです。
しかし私が試算したモデルケースでは、
売電のロスが無く20年間フル稼働した場合で、現金購入した場合、
20年間で約2800万円の税引後キャッシュフローになりそうです。
そこから撤去費用100万円を引いて2700万円。
初期投資2000万円を引くと、20年で700万円が期待できる収益となります。
元本は0です。
ここにプラス要因として、FIPが出てくるわけですが、
当初20年間の収支としてはこんなもんです。
利回りとは・・・
太陽光発電で初期投資が2000万円で年間売電収入が200万円であれば
利回りは10%で、
20年後にザックリ元本込みで2700万円(税引後)残る計算でした。
しかし、例えば20年間縛りで利率5%の定期預金があったとすると、
2000万円を預金して、20年後に1600万円(税引後)と元本2000万円で、
3600万円手元に残ります。
まあ、利回り5%の元本保証の商品なんてなかなかないわけですが、(利率3%でも20年後に税引後960万円になります。単利で。)
この元本の棄損のない、または棄損がないであろう商品と、
最終的に元本は0になる商品とでは、
単純に利回りで比較してはいけないということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
不動産投資に減価率を応用しよう
ボロ物件の実質利回りは高い
ボロ物件投資が流行っていますが、
築古の不動産は、価格が下がり切っており、
それを修繕して当初より付加価値が付いているわけですので、
不動産投資家需要が尽きない限り、
実はボロ物件って、減価しにくい投資対象です。
しかし、自分しか買わないようなニッチな立地の物件は、
そういった意味では価値が0になりますので、
立地的にニーズがある地域の中では、他の地域より比較的高い価格であっても、
建物がボロボロで価格が下がり切った物件というのは、
元本が棄損せず、実質的な利回りが相対的に高いのです。
木造アパートは15年くらいから急激に減価する
新築で木造アパートを建設した場合、
耐用年数の関係と、新築時家賃の関係で、
築後15年くらいから急激に価値が減価していきます。
法定耐用年数が融資に直結しますので、22年の木造は、
比較的早く時価が下がっていきます。
ですから、地主ではない投資家が、新築でアパートを購入・建設した場合は、
建物が急激に減価する前の10年前後で売却することを一つの戦略に入れてはどうかと考えます。
10年後までは家賃も変わらず、新築時の状態とほとんど変わりませんので、
元本の棄損がほとんど無く10年間の家賃収入を得ることができるわけですので、
売却時期としては1つの目安になりそうです。
時価を上げれば利回りが上がる
基本的に不動産は修繕によって価値を向上できますので、
時価が下がってしまった場合は、修繕費を追加投資して、
修繕費以上の時価に上げていくことができます。
これは時間と共に減価していく流れを逆流させるようなものなので、
J-REITなども、この方法で家賃を上げ、稼働率を上げ、
建物全体の時価を維持向上させています。
いずれにしても減価率の想定は必要です
何を買うか、何を売るか、
という判断に、時価や減価という考え方は非常に大切です。
利回りという便利だけど表面的な指標だけで見ないように、
気を付けて投資活動を行ってください。
高額な新築アパートの場合は収益よりも減価率の方が高かったりすることがありますので、
減価率を考えて、5年後、10年後、15年後、20年後の時価をシミュレーションしてみましょう。